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忘れ難き二十二歳の娘・続編-01

 

翌朝、小鳥の囀りで目を覚ましたのは、まだ六時前でした。

随分、早く目が覚めたものです。

昨夜の光子さんとの恍惚の交接に疲れ果てて、

ぐっすり睡ったからなのでしょうか、今朝は頭もスッキリしています。

顔を持ち上げ後ろを見ると、

光子さんももう起きて鏡台の前で身繕いをしているところでした。

私が、「光っちゃん、お早う。昨夜は良い夢を見たので、

気分が爽やかでしょう」と云うと、光子さんは

「まァ、いやなおじさま。そんなことおっしゃってはいやよ。恥ずかしいわ。

それに私、昨夜のことなんか、少しも覚えていませんわ」

と顔を赤らめて云う態度に、昨夜の愛おしさが又、思い出されて来ました。

私は「今日は薄曇りのようだし、それに余り暑くないでしょう。

光っちゃん、二 人で裏山にピクニックへ行こうよ」と云うと、

光子さんは目を輝かして

「おじさま、本当。嬉しいわ。私、お弁当をすぐ作りますわ。

先にお食事を召し上がってらして」と、小走りで下に降りて行きました。

この二階建の別宅の裏は小高い山になっていて房州名産の夏密柑の木が

一面に植えてあるのが庭からもよく見えていました。

六月に来た時に、軽い散歩のつもりで少し登ってみましたら、

景色がとても素晴らしいので、ついつい上まで行き着いてしまったのです。

その時の頂上からの眺めを光子さんに是非見せたくて今朝、

誘ってみたというわけなのです。

階下へ降りて行くと、光子さんは女中とキャッキャッ云いながら、

二人で早速握り飯を作っていました。私が近付くと、女中のお松さんが

「旦那さま、お早うございます。何かおっしゃって下さいませな。

お嬢さまが私もピクニックに行けとおっしゃって聞かないのでございます」

「ねェ、おじさま。お松さんもたまにはよろしくてよネ。

いつも、お世話ばかりし ていただいて、可哀相ですものね」

と光子さんは私に甘えるように云うのです。

お松さんは 「困ります、お嬢さま。そんなにお揶揄になっては、私がこの家

のご主人に叱られますから」

と慌てて私に手を合わせています。

私は思わずプッと吹き出してしまいました。きっとこの女中は、

純真な生娘の光子さんと私との昨夜の恥態を想像すら出来ないであろうと

考えると、急に友人の娘としての光子さんが意識されて来ました。

いくら相手もその気になっていたとはいえ、

従妹の留守中に三十八歳の中年男が、二十二歳の素人娘を四度も犯して

しまったという事実が重くのしかかってきたのです。

「おじさま、どうなさったの。急にお黙りになってしまって」光子さんの声に、

私は「ううん、そうだね。今日は天気が良いからいいね」と、

ごまかしたのでした。

結局、光子さんも女中が同行するのを諦めた様子で、

私と光子さんは軽い朝食を済ませると、

光子さんお手製のお弁当をバスケットに入れ、早々に別宅を出発しました。

今朝の光子さんは、白いブラウスと紺のスカートという清楚な服装で、

白いソックスとサンダルが夏の朝の光に映えて眩しく私の目に写ります。

頭には少し大きめの麦藁帽子を深めにかぶり、

ほんのりと日に焼けた薄紅色の頬には、薄化粧の気配も感じられます。

いつも浴衣や着物姿に見慣れている私にとって、

光子さんの今日の服装は又、新鮮な刺激です。

両国を出た時の光子さんからは想像できないほど女としての可愛いらしい

魅力を私は、彼女の全身に感じました。初めて男を知り、女としての変容に

自ら戸惑い、そしてそれに埋没していく彼女の秘密の過程を知っている私

にとって、横にいる美しく純潔な娘の躰を犯したことが堪らない快感でした。

光子さんは、こんな私の気持ちも知らないで、バスケットを持った手を大きく

振りながら、まるで女学生のようにはしゃいで私の手を引っ張って行きます。

「さァ、おじさま、早く登りましょうよ。あそこの樫の木まで駆けっこよ」

「光っちゃん、そんなに今から張り切っては疲れてしまいますよ。

まだ先が長い のだから」と云うと、光子さんは拗ねたような顔をして、

「意地悪なおじさま。だって早く、

お山に登っておじさまとゆっくりお話をしたいんですもの。ひどいわ」

と私の腕を叩くのでした。今日は一日、童心に返って光子さんと二人で、

この爽やかな空気の中で思いっきり遊ぼう、

光子さんのあどけない顔を見ている内に私はそんな思いにかられました。

小川に架かっている小さな橋を渡ると、夏草の生い茂った道は急に細くなり

徐々に登りになって来ました。私は光子さんの両肩に手を置いて、

「さァ、光っちゃん。これからは少し登りになるから光っちゃんが先に歩いてちょうだい

おじさんは光っちゃんの速度に合わせて登るから」と云うと、

光子さんは頬が触るくらい私に近付いて、

「おじさまって本当にやさしいのね。どの女の人にもそうなのかしら。

おばさまはきっと、お幸せですわ」

と一瞬寂しげな表情を顔に走らせました。

お化粧の甘い匂いが男の心を怪しくくすぐります。

昨夜の烈しく燃えた交接で、

私を一人の男として意識してしまった光子さんの切ない乙女心が胸に

キューンと響きます。思わず光子さんを抱き締めおでこに軽く接吻しながら

「光っちゃん。今、おじさんの心の中にあるのは、光っちゃんだけよ」

「ああ、嬉しいわ。おじさま、私のこと忘れちゃいやよ」

そう云いながら光子さんは私の腕をギュッと掴むと、

山道をゆっくり登り始めるのでした。肩に懸けた魔法瓶の紐を懸け直すと、

私も光子さんの後ろから登って行きました。

笹の葉の間から見え隠れする朝の海を眺めながら、

私たちは山頂に向けて足を運びました。

海岸から冷たい汐風が吹き上がって来て、二人の体を通り抜けて行きます。

後ろから見る光子さんの体は、少し痩せているだけにスラリとして、

特に腰の辺りから尻にかけての曲線が悩ましく男の目に映ります。

紺色のスカートと白いソックス、

そして白いふくろはぎが私の心を烈しく揺さぶります。

「光っちゃん、疲れたでしょう。僕が後ろから押してあげよう」

私は光子さんのお尻を両手で掴み、前へ押し出すようにしました。

突然の行動に光子さんは驚いて

「いやよ、おじさまは。そんな所を触っては恥ずかしいわ」

と慌てて逃げてしまいました。

もう何度も二人だけの秘密の情交をしているのに、

こんなことが恥ずかしいのでしょうか。

娘心の純真さを改めて感じた私は、

光子さんに対する愛おしさが一層募って来たのです。


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